今日は以前所属していた団体で役員をしていた時にいろいろとお話させていただく機会があったのと、経営されてる病院が自宅のすぐ近くにあるのでというのもあって、フジハラレディースクリニックという産婦人科医院を経営されている、藤原 紹生先生と奥様の宮子さんがご自身のクリニックで開催された講演会に伺ってきた。
講演をされる方は、絵本「いのちをいただく」の著者、坂本義喜さんだった。
彼は熊本市のご出身で、自らの経験されてきた、食肉解体業という仕事から、「いのちのいみ」を知って、自らの実体験を通じて、今も小学校や中学校中心に、生命の尊さと生きるということの意味を子供たちに感じてもらうための活動をされている。
生命がなくなっていく場所と、生命が生まれる場所で仕事をされているお二方だが、その根底にあるのは生命への敬意だ。
私たちはすべからく、食べることで自らの命をつないでいる。
ここから逃れられる人は、もちろん人間以外だって、生きていく上で食事は絶対に避けては通れない行為だ。
食肉解体業への偏見や仕事の過酷さなどにも触れながら、伝えたいのはそこではなく、生命をつなぐ食料を生産する仕事をする者の、命への敬意が心から感じられる講演だった。
私たちはもっと食事が出来る、ということに対して、生命を頂いて生きている、ということについて、深く考えることをすべきだし、そういう感覚は本来私たち日本人は大事にしてきた民族ではなかったか、と思う。
こういった話を産婦人科という命が生まれる場所で、伝えようとされた藤原先生と奥様の思いというのは本当に素晴らしいと思う。
藤原先生も奥様も、命の重みと尊さを、そのお仕事を通じて常に意識されていることだろう。だからこそ、この坂本さんのお話をご自身の病院でされることが、どんなに素晴らしいことか、今日この講演を聞いた人はみんな思ったことだろう。
この講演を聞いていた子供が、最後に坂本さんに質問していた。
「今までで一番、殺してつらかった牛さんはどれでしたか?」
この子の質問を聞いて、私は心から思った。
これが、これこそが教育だと本当に私は思う。命とは何か。生きるとは何か。それを、今日この講演を聞いて、心に命への敬意を刻んだ子供たちが、一人でも多くいればいいと思う。
実はもう少しで、私の生徒さんのご夫婦の間に新しい命が生まれる。
きっと、今日ここに来たのは、この話をお二人に伝えるためではなかったか、と思わざるを得ないような日だった。
私自身は、クライアントが、自分の命をどう使うのか、そしてそのために必要なものや手段をどうやって手に入れるか、ということをクライアントと一緒に考える仕事をしている。
今日の話にシンパシーを感じずにはいられなかったし、改めて背筋の伸びる思いだった。
ここで私があれこれ書いたところで、この方のお話のすばらしさは伝わらないと思う。
是非、特にお子さんのいらっしゃる読者の方は、手に取って坂本さん、そして藤原夫妻の、「いのちへの敬意」というものを感じてほしい。
絵本『 いのちをいただく みいちゃんがお肉になる日』