広島県東広島市の東の外れ、河内町という小さな小さな町がある。
かろうじて山陽本線の駅があり、駅前には少しさびれた商店街がある。
その一角に、その男の店はある。
名を「sabaijai」(サバイジャイ)。
タイの言葉で、「心地よい」という意味らしい。
店主の男はHとしておく。
タイに7年間住んだことがあり、その頃は美容師をしていたらしい。その後日本に帰り、美容師ではなく、タイでよく行っていたお店を地元河内町に再現したくてこの店を開き、早10か月ほどになるらしい。
店内にはハーブティやシーシャのフレーバーなどの陳列棚もあり、販売もしているようだった。
このお店のことは、例のen・nailのネイリストの友人に紹介された。
で、なんだかよくわからんけど流れで今日も行くことになり、
初めて、シーシャと呼ばれる水煙草を体験させていただいた。
これはこれでなかなか貴重な体験だった。
ハーブティもいろいろな種類がある。
「タイのハーブは南国だってこともあるんだろうと思うんですけど、カラフルなんですよね」
Hはそう言いながらテキバキとハーブティを入れてくれる。
ハーブティはどれも穏やかな香りですっきりとした味わいだ。
ご覧の通り、目で見ても楽しめる。
なんなら食事も絶品だ。
小麦粉を使わないワッフルや、賄いナポリタン、またハンバーガーなど洒落た料理の数々は、どれもなかなかの味わいだ。
今日は、別の機会に縁を頂いた方何人かと、夜になってから訪れ、歓談を楽しみながらこれらの料理に舌鼓を打った。
「なんていうか、河内が地元なんですけど、河内にないだろ普通こんな店、っていう店をやりたかったんですよね。
地元に元気になってほしいし、もっと人が集まればいいな、とか思うし、今はまだそんな大したことできてないですけど、こうやっていろいろやってたら、なんかそれこそCHOJIさんとつながったみたいに、なんかわけわかんないミラクルとか起きそうなきがしてて。」
いつも考えるのは、地元を元気にしたい、というその思いをどうやって遂げるべきか、ということばかりだそうだ。
「なんだかんだ、地元が好きなんですよね。外から見てると日本ってすごい国なんすよ。電車の時間遅れないし、何作っても滅茶苦茶品質いいし。
なんか海外いっててどこが一番よかった?ってよく聞かれるんですけど、日本ですね」
地方、特に河内もそうだが中山間地域の寂れようといったらないが、これはまさしく日本の縮図だ。政治権力の犠牲になったといっても特に疑いの心を持つもはいないだろう。その地元を愛する気持ち、地元に恩返しをしたい、という彼の純粋でまっすぐな言葉は、外国に住んで、改めて故郷の魅力を思い知ったというその言葉に集約されている。
この度彼とコラボレーションすることとなった。彼のお店での講義だ。
「お金の問題ってクッソ大事なのに、なんでかみんなフタして言わんのんですよね。まあ感覚的にわからなくはないけど、大事なことじゃん?って思うし、俺もめっちゃ勉強したいなあとか思うんですよね」
目の奥に漂う確かな自信と志は、今、彼の中でふつふつと燃えている。
都会の喧騒を忘れたくなったとき、心に痛みを抱えたとき、きっとあなたにとって、このお店はとても大事な場所になるだろう。
「sabaijai」(サバイジャイ)
https://www.instagram.com/sabai_jai24?igsh=MTZhbzJhOTM4enMyZQ==