よく聞かれるのが、やっぱり勉強しないと投資って難しいんですか?という質問だ。
私はその通りだ、と答える。勉強しないで、研究や学習なしで自分なりのトレーディングスタイルというものが構築できるわけがない。勉強したくないなら山崎元さんじゃないがインデックスファンドという話になるのだろうと思う。が、そのインデックスファンドへの投資だってゼロ学習、というわけにはいかないものだ。投資というものは、すべからく、トレードにしろ投資にしろ必要な知識を身に着けて、目的や目標に沿ったものにしなければ、悲惨な結果を招く。
そういう意味では、近年のNISAへの傾注は、どうにも違和感を覚える。
長期投資は行動ファイナンスにおける罠から、自分の資産を守る術を持ち合わせない人がやったら、必ずと言っていいほど失敗するからだ。
それは、長期に渡ってリスク資産を保有する、ということの意味がどんなものであるか、ということに他ならない。価格は上下するのだ。長期の保有の間、いったいどのぐらい含み損の期間が続くのか。あるいは、今現在の価格は良好と判断してよい水準なのかどうか。
そういったことに自分で答えを出せないから、プロの意見を聞く。だがプロも間違える。そして自分のせいとは思いたくないかあ人のせいにして自分を納得させるほかなくなるわけだ。
こんな話が今山ほどある。ネットのインフルエンサーの話なんか聞かなければとか、証券会社の言う通りにしたら資産が半分になったとか、そういうのを聞いていてもなんのために投資を始めたのだろうか、と聞いてみたくなる。
私のトレードについての知識は、主に5人の師匠たちからの知識と、独学で勉強したり研究したりした結果身についたものだ。
この、独学、というのが曲者だ。
そもそも、独学でたどり着ける場所と、ちゃんと「負けない人」に教えてもらって基礎を身に着け、そのうえで自己学習していくのとではそもそものスタートラインばかりか到達できる場所も範囲も全くレベル感の異なるものになる。
これは、私自身実感していることだ。本当に知っている人とそうでない人というのははっきり見わけが付く。原理原則がわかっていれば、何が詐欺で何が詐欺でないかなど、見破るのは容易なのだ。
原理原則を知らないからよくわからないまま株式投資に大きなお金を突っ込んで失敗する。原理原則を知ることをさぼるからこうなるのだ。
多くの人が、不安だから、心配だからといって原理原則を学ぶことを後回しにしすぎだと私は思う。急いでも焦っても、きちんと原理原則を納めている人は成果を出すものだ。
市場とは、人間社会の写し絵だ。その中でどんな原理や原則が働いているのか、ということに人間は答えを出せていないが、もうかなりの程度のことはわかりつつあるのだ。
その原理原則を生かし切ることができているトレーダーは本当に稀だ。
そういう意味では、プロもアマチュアもない。プロより詳しいアマチュアなぞいくらでもいるし、プロの中でもピンキリ、という世界だ。
ただ、そもそも学習をすることができない、嫌いな人が近づいてはならない世界だともいえる。
知りたい、と思う欲求が、知識への渇望が、市場と向き合う時には一番必要な資質なのかもしれない、ということを、最近強く感じる。